嗅覚を鍛える
嗅覚は視覚や聴覚などの感覚同様に、成長とともに低下するそうだ。
10歳代でMAX.となった後、男性では60歳代から女性では70歳代から低下するらしい。
2018年に出版された『熱狂のソムリエを追え! ワインにとりつかれた人々との冒険』
(Cork Dorkコルク・ドルク(ペンギン・ランダムハウス)の著者、ビアンカ・ボスカー氏は『ハフィントン・ポスト(アメリカのリベラル系オンラインメディア)』の元テクノロジー編集幹部。(現在はニューヨーク在住のジャーナリストとして食、ワイン、建築、テクノロジーについて雑誌などに寄稿し、活躍中)
人は嗅覚と味覚をどれだけ磨くことができるのだろうか。そして、それは人に何をもたらすのか。
ワインについては、ど素人だった若いアメリカ人女性ジャーナリストが、レストランでのソムリエとの会話をきっかけに、職業的な好奇心からソムリエコンクールに興味を抱きワイン業界に飛び込む。サービス見習いとして働きながら、ワインを毎日飲んでは印象を言葉にし、言葉にしては飲む生活に浸り、1年後にソムリエ試験に合格。そんな彼女が体験型・体当たり取材型ノンフィクションで書き上げた『Cork Dorkコルク・ドルク=仮訳:コルク・オタク』(ペンギン・ランダムハウス)が話題になった。
彼女は、ワイン業界に身を置きながら、並行して手っ取り早くワイン通になれる方法はないものかと、嗅覚の科学の専門家に会いに行き、嗅覚の鋭さは生まれ持ったものなのだろうか、それともきちんと努力することで、より敏感になるのだろうか、という疑問をぶつける。専門家らによると、最大の問題は、大半の人が味と香りの違いさえ区別できないということだそうだ。
ボスカー氏曰く「私たちは口の中で生じたことはすべて味覚だと考えがちだが、それは正しくない。私たちは視覚と聴覚を混同することは絶対にないが、味覚と嗅覚だと混同してしまう」
と話す。
しかし希望もあるようだ。ドレスデン大学嗅覚味覚クリニックの最近の調査で、脳の中で嗅覚の処理を担当する部位、いわゆる「嗅球」が経験によって成長することが分かったそうだ。平均的な嗅覚の人でも、1日2回、30秒ずつ4種類の香りをかぐ訓練をすることで、嗅球のサイズが大きくなるのだとか。
(大きくなると嗅覚が鋭くなる、ということなのだろうか???)
「現代人はきちんと味わう力をほとんど鍛えていない。価格やラベル表示やメニューに書かれた説明が、本来五官で感じるものの代わりになっている」という。
同氏がすすめる「より鋭敏な嗅覚を手に入れる為のステップ」の一つに「ニュートラルな環境を作る」という箇所がある。
喫煙、コーヒー、強いアルコール、辛いソース、香水、香りの強すぎるシャンプーや歯磨き粉は禁止。熱い紅茶やスープもだめだ。ソムリエの多くは熱いドリンクを飲まないようにしている、と説明。(ちなみに私は元来猫舌だが)
ところで、嗅覚が低下している高齢者は嗅覚が正常な高齢者より認知症になりやすく、寿命が短くなると言われているとか。
このあたりについては、是非、専門家に伺いたいところだ。
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